
この記事のまとめ
コーディングAIを安く・ローカルで・高品質に使いたいなら、今最強の選択肢の1つ。
【2026年】Laguna S 2.1 徹底解説!118B MoEで1Mトークン・最大25倍のモデルを超えるオープンウェイトAIコーディングモデルの実力(ベンチマーク完全比較)
「118Bパラメータのモデルが、1.6兆(1,600B)パラメータのモデルをコード生成で負かした」
2026年7月21日、AIコーディング界隈がざわついた。Poolside(プールサイド)が公開した Laguna(ラグナ) S 2.1 というモデルが、自身の14倍〜25倍の規模を持つモデルと互角以上に戦えるスコアを叩き出したのだ。

Laguna S 2.1は:
- 118B総パラメータ / 8B活性(MoE)
- コンテキストウィンドウ最大100万トークン(1M)
- 思考(thinking)モード・非思考モード切り替え
- Apache互換のOpenMDW-1.1ライセンスで完全公開(オープンウェイト)
- NVIDIA DGX Spark(1台)で動くサイズ
という、個人開発者から企業まで注目のモデル。
この記事では、公式ベンチマークの全スコアを正確に比較表にまとめ、初心者にもわかりやすく「なぜ小さいモデルが強いのか」「どの場面で使うべきか」を解説する。
この記事を読めば:
- Laguna S 2.1のスペックと特徴
- 他の最新モデルとのベンチマーク比較(6つの指標)
- 「思考モード」の効果(何%上がるか)
- ローカルで動かす方法とクラウドAPIの料金
- 向いてる人・向いてない人
が、すべてわかる。
Laguna S 2.1 の基本スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| モデル名 | Laguna S 2.1 |
| 総パラメータ | 118B(1180億) |
| 活性パラメータ | 8B(80億)/ トークン |
| アーキテクチャ | MoE(Mixture-of-Experts) |
| コンテキスト | 最大100万トークン(1M) |
| 思考モード | あり(thinking / no-thinking) |
| ライセンス | OpenMDW-1.1(オープンウェイト) |
| 公開場所 | Hugging Face |
| 提供形式 | BF16 / FP8 / INT4 / NVFP4 / GGUF / MLX |
| トレーニング期間 | 約9週間(4096× H200 GPU) |
「MoE」 とは、すべてのパラメータを毎回使うのではなく、入力に応じて専門家(エキスパート)の一部だけを起動する仕組み。だから 総パラメータは1180億あるが、実際に使うのは80億分だけ。これが「小さいGPUで動くのに賢い」秘密だ。
ベンチマーク結果(公式スコア完全比較)
Poolsideが公開した6つのベンチマークを、すべてのモデルで並べた。pass@1(1回の試行で正解する確率の平均)で評価。各モデルの最大スコアを採用。
| ベンチマーク | Laguna S 2.1 (118B-A8B) | Tencent Hy3 (295B) | DeepSeek-V4-Pro-Max (1.6T) | Kimi K3 (2.8T) | Qwen 3.7 Max | Muse Spark 1.1 | Claude Fable 5 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 2.1 | 70.2 | 71.7 | 64.0 | 88.3 | 74.5 | 80.0 | 88.0 |
| SWE-Bench Multilingual | 78.5 | 75.8 | 76.2 | — | 78.3 | — | — |
| SWE-Bench Pro | 59.4 | 57.9 | 55.4 | — | 60.6 | 61.5 | 80.3 |
| DeepSWE | 40.4 | — | 9.0 | 69.0 | — | 53.3 | 70.0 |
| SWE Atlas (QnA) | 46.2 | — | 27.2 | — | — | 42.2 | — |
| Toolathlon Verified | 49.7 | — | 55.9 | — | — | 75.6 | — |
「—」はそのベンチマークの公式スコアが公開されていない、または未参加。
ポイント1:Terminal-Bench 2.1で「サイズ外」の強さ
| 順位 | モデル | 総パラメータ | スコア |
|---|---|---|---|
| 1 | GPT-5.6 Sol | 非公開 | 88.8 |
| 2 | Kimi K3 | 2.8T | 88.3 |
| 3 | Claude Fable 5 | 非公開 | 88.0 |
| 10 | Hy3 | 295B | 71.7 |
| 11 | Laguna S 2.1 | 118B | 70.2 |
| 13 | DeepSeek-V4-Pro-Max | 1,600B | 64.0 |
| 14 | Inkling | 975B | 63.8 |
注目: 1,600B(DeepSeek)や975B(Inkling)という巨大モデルより、118BのLagunaのほうが高スコア。パラメータ数で14倍〜25倍の差があるのに逆転している。
ポイント2:SWE-Bench Multilingualでトップクラス
多言語のソフトウェア工房タスクで 78.5%。これはQwen 3.7 Max(78.3%)を上回り、DeepSeek-V4-Pro-Max(76.2%)やTencent Hy3(75.8%)より高い。同サイズ帯では 圧倒的ナンバーワン。
ポイント3:DeepSWEでDeepSeekに大差
長時間タスクのDeepSWEで 40.4% vs DeepSeek 9.0%。DeepSeekがほぼ解けないレベルの長時間タスクを、Lagunaは40%以上解いている。これは「Lagunaは長時間粘り強く解く」という設計思想の成果。
ベンチマークの完全公開 — trajectories.poolside.aiとは
Poolsideはこのリリースで、全評価の軌跡(trajectory)を完全公開している。
🔗 https://trajectories.poolside.ai/
従来のAIベンチマークは「最終スコアだけ」を公表するのが一般的。しかしPoolsideは違う。各タスクでモデルが 「何ステップ踏み、どのコマンドを打ち、どこで詰まって、どう突破したか」 を、生ログ(軌跡)のまま見られる・ダウンロードできる。
なぜこれが重要なのか
AIベンチマークには 「reward hacking(報酬ハック)」 という深刻な問題がある。
例えば:
- モデルが本当に自力で解いたか
- それともインターネットで答えを検索してコピペしたか
- ベンチマーク固有のクセを丸暗記していただけか
Poolside自身も開発中、SWE-bench系で50%以上の軌跡が「オンラインで答えを見つけて修正」していた ことを、LLM-as-a-Judge(AI判定)で発見。プロンプトで「直接答えを見ないで」と指示して、2%未満に抑えたと公表している。
つまり trajectories.poolside.ai は、スコアの「信頼性」を自分で検証できる場 だ。
何が見られるのか
- 各ベンチマーク最終評価セットの 全試行の軌跡
- Terminal-Bench 2.1 / SWE-Bench Multilingual / SWE-Bench Pro / DeepSWE / SWE Atlas / Toolathlon の全データ
- モデルが打ったコマンド・編集・テスト結果
- 人間の専門評価者による検証済み
「数字だけ見せる」のではなく「どうやってその数字にたどり着いたか」まで見せる。 これがPoolsideの 「We work in the open(オープンに働く)」 哲学の具体例だ。
「思考モード」の効果 — 何%上がるのか
Laguna S 2.1は2つのモードを持つ:
- no-thinking(非思考):即答。速い・安い
- thinking(思考):内部で推論してから回答。遅い・賢い
公式が公開した「思考モードで何%上がるか」のデータ:
| ベンチマーク | no-thinking | thinking | 改善幅 |
|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 2.1 | 60.4% | 70.2% | +9.8pt |
| DeepSWE | 16.5% | 40.4% | +23.9pt |
| SWE-Bench Pro | 53.0% | 59.4% | +6.4pt |
| SWE-Bench Multilingual | 71.0% | 78.5% | +7.5pt |
DeepSWEでは2.4倍に跳ね上がる。 難しい数学・長時間タスクほど、思考モードの価値が大きい。
コストのトレードオフ
思考モードは賢くなる代わりに、トークン消費が増える:
| ベンチマーク | no-thinking(平均トークン/タスク) | thinking(平均トークン/タスク) |
|---|---|---|
| SWE Multi | 23k | 101k |
| Terminal-Bench | 80k | 129k |
| DeepSWE | 99k | 249k |
言い換えると: 難しいタスクを解かせたいなら、thinkingモードで約3倍のトークンを使う覚悟が必要。ただし、解けるならそのほうが安上がりになるケースも多い。
なぜ「小さいのに強い」のか?
Poolsideの研究チームが明かした秘密は、「知能を増やすだけが正解ではない」 ということ。
「このモデルでやったのは、単に賢さを足すことではなく、より有能なモデルにつながる振る舞いを改善すること:検証を増やす、当たり前と思い込まない、早々に勝利宣言しない、粘り強くなる」
具体的には:
- 検証行動:自分の出力を自分でテストする
- 粘り強さ:テストが部分的に通っても「よし」としない
- バックトラック:2歩手前で諦めず、別アプローチを試す
- 長時間コンテキスト:最大100万トークンで「今までの作業」を全部覚えてる
これらは トレーニング手法(RLの工夫) で実現された。モデルサイズを大きくせずに「働き方」を鍛えた結果、サイズ外の性能が出た。
実際の動作例(3つのケーススタディ)
事例1:空っぽのフォルダからブラウザエンジンを構築
Laguna S 2.1に「ブラウザエンジンを作れ」と頼むと、人間の介入なしで50分・181ステップ で動くHTML/CSSレンダリングエンジンを構築。自分でヘッドレスChromiumを動かしてスクリーンショットを比較し、正しく描画されてるか自己検証した。
事例2:Poolside自身のハーネスを最適化
Laguna S 2.1を自動ループで回すと、Poolsideのエージェント基盤を5.2%高速化・メモリ割り当てを約70%削減。
事例3:50年間未解決だった数学問題を再発見
Erdős問題#397(1975年提案・未解決)の証明を、知識カットオフ(2025年11月)の範囲内で独立発見。GPT-5.2 Proが2026年1月に初めて証明してるが、Lagunaはそれに影響されず自力で導出した。
どうやって使うの?
方法1:クラウドAPI(最も手軽)
OpenRouter で提供中:
- 無料エンドポイント(256Kコンテキスト)あり
- 有料専用エンドポイント(1Mコンテキスト):
- 入力:$0.10 / 1Mトークン
- 出力:$0.20 / 1Mトークン
- キャッシュ読み込み:$0.01 / 1Mトークン
その他:Baseten・Vercel AI Gateway・Frontier Gateway
方法2:ローカルで動かす
NVIDIA DGX Spark(1台) で動作可能。家庭用GPU(RTX 4090等)でも量子化(INT4 / NVFP4)すれば動く可能性あり。
対応推論エンジン:
- vLLM
- SGLang
- Ollama
- NVIDIA TRT-LLM(Blackwell)
方法3:コーディングエージェント経由
Laguna S 2.1は以下のエージェントから使える:
- pool(Poolside公式・ターミナル型)
- Hermes Agent(※注意点あり・後述)
- Kilo・OpenCode・OpenClaw・Cline・pi
非開発者向け:chat.poolside.ai(ログイン不要・Web検索付き)
注意点(正直に書く)
⚠️ Hermes Agent等でのツール呼び出し不安定
Poolside自身が認めている:「サードパーティのハーネス(Hermes Agentのターミナルツール等)では、ツールのスキーマ定義の遵守に苦労する場合がある」。ただし、ハーネスが無効な呼び出しを弾いてリトライさせれば、コンテキスト学習で直る。
⚠️ ネストされたツール呼び出し
JSON配列を引数に取るツール(Piの編集ツール等)で、エスケープが崩れる場合がある。
⚠️ 考えすぎ(overthinking)
難しい数学問題では、数時間考え続けることがある。今後「思考の強度調整」が実装予定。
⚠️ まだ発展途上
2026年7月21日初公開。ベンチマークは強いが、実運用での評価はこれから。
よくある質問(FAQ)
Q1: 無料で使える?
はい。 OpenRouterの無料エンドポイント(256Kコンテキスト)で試せる。Hugging Faceから重みをダウンロードして自分で動かすのも無料(ライセンス料なし)。
Q2: 商用利用OK?
OpenMDW-1.1ライセンス で公開。商用利用の可否はライセンス条文を要確認(一般的なオープンウェイトに近いが、MDW独自条項あり)。
Q3: 日本語は得意?
英語ベースのコーディングタスクに最適化。日本語指示も通じるが、英語指示のほうが精度が高い傾向。
Q4: どのモデルと比較すべき?
同サイズ帯なら Tencent Hy3(295B) や DeepSeek-V4-Flash-Max(284B) と。Lagunaはそれらより小さく・速く・安いのに同等以上のコーディング性能。
Q5: ローカルPCで動く?
DGX Spark(1台)なら公式対応。一般的なゲーミングPCならINT4/NVFP4量子化で何とか、というレベル。VRAM 24GB〜48GB推奨。
Q6: API料金は高い?
OpenRouter有料で 入力$0.10・出力$0.20 / 1Mトークン。ClaudeやGPTの同等性能帯と比べると 1/10以下 で済む。
Q7: 思考モードはいつ使うべき?
複雑なバグ修正・長時間タスク・数学証明 → thinking。簡単な補完・高速応答が必要 → no-thinking。
Q8: 他のオープンモデルと何が違う?
「長時間粘り強く働く」設計 が最大の差。多くのモデルは部分点で満足して止まるが、Lagunaは最後まで検証し続ける。
まとめ — Laguna S 2.1を使うべき?
結論:コーディングAIを安く・ローカルで・高品質に使いたいなら、今最強の選択肢の1つ。
- 118B/8BのMoEで、DGX Spark 1台 or クラウドで$0.10〜$0.20 / 1Mトークン
- 1.6TのDeepSeekをDeepSWEで圧倒(40.4% vs 9.0%)
- 完全オープンウェイトで自分のサーバーに置ける
- 思考モードで難問も解ける
逆に、こんな人は様子見でOK。
- 日本語のみで自然な会話をしたい(英語最適化)
- 即座の応答しか求めてない(thinkingモードは遅い)
- スマホアプリ等の軽量推論(33BのXS 2.1のほうが向いてる)
2026年後半、最も「コスパが良くて賢い」オープンAIコーディングモデル。 今日からHugging Faceで動かせる。
「We're building open-weight foundation models.」
Poolsideの哲学 — モデルをみんなの手に。Laguna S 2.1はその理念の、最も実用的な成果だ。
この記事の情報は2026年7月21日時点のものです。ベンチマークスコアはPoolside公式発表(2026-07-21)に基づく。全評価の軌跡は trajectories.poolside.ai で公開中。
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