
【2026年】Asimov 1とは?$20,000で「ゼロショットsim2real」を実現したオープンソース人型ロボットDIYキットを徹底解説
この記事でわかること
- Asimov 1とは何か・なぜ注目されているか
- 「ゼロショットsim2real」とは何か(シミュレーション→実機の壁)
- Asimovが8ヶ月かけて達成した技術的な内容
- Asimov 1のスペック・価格・購入方法
- 100時間かかる組み立てプロセスと注意点
- オープンソース人型ロボットの現状と将来
結論:Asimov 1は「シミュレーションで訓練した歩行が、実機でそのまま動く」を実現した、世界で最も開かれた人型ロボットDIYキット
2026年8月27日、Menlo Research(シンガポール)のAsimovチームが「ゼロショットsim2real」達成を発表しました。
Asimov公式X(@asimovinc・177いいね・32秒動画)の発表:
"Asimov is now zero-shot sim2real for locomotion. You train the policy in simulation. It runs on the robot without additional tuning."
つまり:
- シミュレーションで訓練した歩行ポリシー(制御プログラム)が、追加チューニングなしで実機にそのまま動く
- ブログ:menlo.ai/research/zero-shot-sim2real-asimov
- 購入:menlo.ai/asimov-1($20,000)
結論:人型ロボットで最も難しい「シミュレーションと現実のギャップ」を、オープンソースのDIYキットで解決した——2026年で最も重要なロボティクス発表の1つです。
Asimov 1とは?基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | Asimov 1(Menlo Research) |
| 種類 | 教育用人型ロボットDIYキット(オープンソース) |
| 価格 | $20,000(Menlo Researchから購入・送料込み) |
| サイズ・重量 | 身長120cm・重量35kg |
| 自由度 | 25+2 DoF(2足・上肢含む) |
| コンピュータ | Raspberry Pi 5(通信/高次)+ Radxa CM5(モーター制御) |
| OS | Asimov OS(Linuxベース) |
| 組み立て時間 | 100時間以上(自分で組み立てる) |
| 特徴 | ゼロショットsim2real・LLM統合可・ブラウザシミュレータ付き |
| オープンソース | BOM・CAD・シミュレーション環境・歩行ポリシーをGitHubで公開 |
なぜ注目されているのか:ゼロショットsim2realとは?
sim2realの壁(これまでの問題)
ロボット工学では、シミュレーション(仮想環境)でAIを訓練するのが常識です。実際のロボットで試行錯誤するのは危険で時間がかかるからです。
しかし、シミュレーションで訓練した制御プログラムは、実機ではそのまま動かない——これが「sim2realギャップ」という長年の課題でした。
- シミュレーションは理想的な物理(摩擦・トルク・遅延がない)
- 実機には部品の個体差・温度変化・センサーのドリフトがある
- 従来は「シミュレーションで訓練→実機で数時間〜数週間かけて調整」が必要だった
Menloの調査では、研究者への質問「新しい歩行ポリシーを実機で動かすまでどのくらいかかる?」に対し、「3-5時間」から「2週間」という答えが返ってきました。
Asimovが達成したこと
ゼロショットsim2real=「シミュレーションで訓練したポリシーを、実機にそのまま展開しても動く」こと。Asimovはこれを8ヶ月かけて達成しました。
具体的な内容(ブログより):
- 平坦地形の歩行でゼロショットsim2realを達成——わずかな坂・芝生などの地形変化にも一般化
- 複数台の個体で検証——ラボで手調整した1台だけでなく、複数の個体で同じ挙動を確認
- オンボードで50Hz動作——25モーター・センサーを外部PCなしで制御
- Unitree(宇樹科技)の2025年初頭の歩行性能に匹敵——ただし「まだ長い道のり」
なぜ成功したのか:ハードウェアの決定性
Menloの主張は重要です:
「モデルを微調整するより、ハードウェアをより決定論的(予測可能)にすることが解決策だった」
- 部品の個体差を極力減らす(CNC加工7075アルミ・並列アクチュエーション)
- RSU(Revolute-Spherical-Universal)足首機構——2つの36Nmモーターを並列配置
- ハードウェアを「訓練における単一の決定論的ハイパーパラメータ」として設計
- ハードウェアの劣化にポリシーを過学習させない(過度に保守的になるのを防ぐ)
Asimov 1のスペック詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 身長 | 120cm |
| 重量 | 35kg |
| 自由度 | 25+2 DoF(ハンドなし・自力で設計/調達) |
| 歩行速度 | 最大3km/h |
| バッテリー | 約2時間 |
| カメラ | 2MP単眼 |
| 接続 | 6×内部CANバス・Bluetooth・Ethernet・Wi-Fi |
| モーター | BLDCロータリーアクチュエータ(遊星+波動減速) |
| 材料 | CNC 7075アルミ(荷重部)+ MJFナイロン3Dプリント(外装) |
| LLM統合 | 可能(エージェント制御) |
| シミュレータ | Digital Asimov(ブラウザで無料体験) |
使い方・購入方法
購入方法(2つの選択肢)
-
Menlo Researchから購入(推奨・$20,000):
- コアハードウェアを一括調達で大幅値引き(業界級アクチュエータを個別購入すると$30,000以上)
- 自分で全部そろえるより約$11,000お得
- $499の返金可能デポジットで予約
- 当初は「目標価格$15,000」と案内されていたが、出荷が始まった2026年8〜9月時点の最終価格は$20,000(送料込み)。古い記事の$15,000は目標値なので注意(出典: menlo.aiのPrice goal表記、robottoday.comの出荷時コスト報道)
- 月次のバッチで出荷
-
自分で部品調達(BOM・CADは無料公開):
- アクチュエータを個別に買うと高額になりがち
- 時間と手間はかかるが、学習効果は最大
組み立て(100時間の道のり)
Asimov 1はプラグアンドプレイの完成品ではありません:
- 機械組み立て(トルク管理・配線・フラッシュ・キャリブレーション)に約100時間
- 3Dプリント外装・CNCアルミ・ハーネス・計算システムを組み立てる
- 基本の歩行ポリシーは同梱・高度な動き(ダンス・立ち直り等)は自分で訓練
デジタルで先に試す
- Digital Asimov(https://try.menlo.ai/)でブラウザ上で無料体験
- ハードウェア不要・セットアップ不要・コスト不要でロボットを探索
コミュニティ
- Discord・フォーラム・YouTube配信で「Build in Public」
- 小バッチ同期出荷で、コホート単位のトラブルシューティングを支援
キットの中身:何が入っているか
Asimov 1 DIYキットに含まれるもの・含まれないものを整理する。
| カテゴリ | 含まれる | 含まれない |
|---|---|---|
| ハードウェア | 全BOM部品(未組立)、電源&ケーブル類、スペアパーツ | 工具、作業用手袋 |
| コンピュータ | エッジボード(Raspberry Pi 5)、モーション制御ボード(Radxa CM5)、ネットワークボード、電源分配ボード | 4G/5Gモジュール |
| センサー | 単眼カメラ、IMU、マイクアレイ、スピーカー、モーター関節状態 | Lidar、360度カメラなどの高級センサー |
| 安全機能 | バッテリー、無線E-Stop、安全ガイドライン | — |
| ドキュメント | クイックスタートガイド、マニュアル、DIY動画 | — |
| ハンド(手) | なし(未実装) | 現時点では非対応 |
重要なポイント:Asimov 1にはHands(手)が含まれていない。現時点では脚・胴体・腕までの構成で、器用なマニピュレーションは今後のアップデート待ち。コミュニティで自作することも可能。
組み立てに必要なもの
必要なスキル
Menlo Researchはこう述べている:「Asimov 1の組立は車の整備に近い複雑さ。週末プロジェクトではありません。」
- 機械的知識:ネジのトルク管理、公差の理解、CNC/3Dプリント部品の取り扱い
- 電気的知識:CANバスの配線、電源管理、モータードライバの設定
- ソフトウェア知識:ROS 2、Python、Linux(Raspberry Pi / Radxaのセットアップ)
「自宅で車のオイル交換をやったことがある」レベルなら問題なく始められる。まったくの初心者にはかなりハードルが高いのが実情です。
必要な工具
キットには工具は含まれていない。以下のものを自分で用意する必要がある:
- 六角レンチセット(メトリック)
- トルクレンチ(規定トルクで締めるため)
- プラスドライバー各種
- ニッパー・ワイヤーストリッパー
- マルチメータ(電気的な確認用)
- 静電気対策作業マット(推奨)
- PC(Ubuntu推奨、ROS 2環境構築用)
組み立て時間
50〜100時間が目安。最初のマイルストーンは「歩行」ではなく「安全に電源を入れられるところまで」。そこから調整・ソフトウェアセットアップを経て、実際に動かせるようになるまでさらに時間がかかる。
Menlo Researchの推奨スケジュール:
- 機械的な組立:部品を組み立て、トルク管理しながらボディを構成(30〜50時間)
- 電気配線:CANバス・電源・センサーの配線(10〜20時間)
- 検証:通電チェック、E-Stop動作確認、各モーターの応答確認(5〜10時間)
- ソフトウェアセットアップ:ROS 2、ファームウェア、シミュレーション環境(5〜20時間)
セットアップ手順(ソフトウェア編)
本体の組立が終わったら、次はソフトウェアの設定。
1. GitHubからリポジトリをクローン
git clone https://github.com/asimovinc/asimov-1.git
cd asimov-1
2. シミュレーション環境の構築
Asimov 1はMuJoCoベースの物理シミュレーションに対応。実際のロボットを動かす前に、シミュレーション上で歩行ポリシーをトレーニングできる。
# シミュレーションモデルは sim-model/ ディレクトリに格納
cd sim-model
# MuJoCoのセットアップ(Python)
pip install mujoco
python -c "import mujoco; print('MuJoCo ready')"
3. ROS 2環境のセットアップ
Asimov 1の制御はROS 2ベース。以下のセットアップが必要:
# ROS 2 Humble または最新版をインストール
sudo apt install ros-humble-desktop
# Asimov 1のROS 2パッケージをビルド
cd ~/ros2_ws
colcon build --packages-select asimov_bringup
source install/setup.bash
4. 初回起動(電源投入)
重要:初回の電源投入は必ずE-Stopが接続された状態で行う。
- バッテリーを接続(またはAC電源)
- Raspberry Pi 5が起動するのを確認
- SSHでRaspberry Piに接続:
ssh pi@asimov.local - モーション制御ボード(Radxa CM5)のファームウェアを確認
- 各モーターのCAN通信を確認:
cansend can0 000# - 1関節ずつ手動で動かして動作確認
5. 歩行ポリシーの適用
Asimov 1には基本的な歩行ポリシーがあらかじめ用意されている:
# 基本的な歩行を開始
ros2 launch asimov_bringup walk.launch.py
ここから先は、強化学習で独自の歩行ポリシーをトレーニングしたり、改造に応じてパラメータを調整したりするフェーズに入る。
オープンソースの全容
Asimov 1のGitHubリポジトリ(github.com/asimovinc/asimov-1)には以下がすべて公開されている:
| ディレクトリ | 内容 |
|---|---|
| mechanical/ | CADデータ(CNC削り出し7075アルミ + MJF PA12ナイロン3Dプリント) |
| electrical/ | Motion Control Board v0.1.4 の設計ファイル、配線図 |
| sim-model/ | MuJoCo物理シミュレーションモデル |
| scripts/ | ビルドスクリプト・ファブリケーション用マニフェスト |
| assets/ | 画像・メディアファイル |
BOM(部品表)も公開されており、自分で全部品を調達して一から組み立てることも可能: Asimov 1 BOM
公式ドキュメント:docs.menlo.ai/asimov/1
Menlo Researchエコシステム
Asimov 1の真の価値は、ハードウェアだけではない。Menlo Researchが提供するエコシステム全体が重要だ。
- シミュレーション環境:MuJoCoベースで歩行ポリシーをトレーニング可能
- Menlo Platform:ロボットの知能レイヤー(調整中)
- インテリジェンスレイヤー:LLM連携・AIエージェント統合
- コミュニティ:Discord・フォーラム・バッチシステム
AsimovのCEOが言うように、「我々の賭けはエコシステムにある」のだ。最高のハードウェアを作ることではなく、コミュニティ全体でロボット知能を発展させるプラットフォームを提供することが目標だ。
評価
良い点
- 真のオープンソース——BOM・CAD・シミュレーション・ポリシーが全て公開
- 業界最安クラスの価格——同級アクチュエータの個別調達($30,000+)より大幅安
- ゼロショットsim2real——研究の反復速度が劇的に上がる
- 修理可能——「修理できないロボットは本当に自分のものではない」という哲学
- LLM統合可能——AIエージェント制御の研究にも対応
注意点
- $20,000は高額——大学・研究機関・開発者向け(一般家庭向けではない)
- 100時間の組み立てが必要——スキルと時間を要する
- ハンドなし(0本指)——エンドエフェクターは自分で設計・調達
- 基本歩行のみ同梱——高度な動きは自分で訓練(ただしゼロショットで展開可)
- 販売は順次出荷——月次の小バッチ・待ち時間あり
- 米国・シンガポール等の配送・関税で最終価格が変動
まとめ:Asimov 1は「人型ロボット開発の民主化」を体現した
- ゼロショットsim2realを達成——シミュレーションで訓練した歩行が実機でそのまま動く
- $20,000のDIYキット——業界級アクチュエータを大幅値引きで提供
- 完全オープンソース——BOM・CAD・シミュレータ・ポリシーを公開
- 100時間の組み立て——ロボットそのものが「教材」
- 「修理できないロボットは本当に自分のものではない」——ブラックボックスからの脱却
「ロボットをブラックボックスとして使うのではなく、開いて・組み立てて・訓練して・自分だけのものにする」——Asimov 1はその哲学を、$20,000という現実的な価格で実現しました。
読者が知りたいこと
Q1. Asimov 1は完成品が届きますか?
いいえ。 DIYキットで、組み立てに約100時間かかります。機械・配線・キャリブレーションを自分で行います。このプロセス自体が学習の目的です。
Q2. シミュレーションで訓練したAIは本当にそのまま動きますか?
はい。これが今回の最大の発表です。平坦地形の歩行ではゼロショットsim2realを達成し、複数台の個体でも同じ挙動を確認しています。ただし、高度な動きは自分で訓練が必要です。
Q3. 購入はどうすればいいですか?
menlo.ai/asimov-1から。$499の返金可能デポジットで予約し、$20,000でキットを受け取ります(送料・関税で最終価格は変動)。
Q4. ハンドはありますか?
ありません(0本指)。エンドエフェクター(ハンド・グリッパー)は自分で設計・調達する必要があります。
Q5. LLM(AI)を統合できますか?
はい。オンボードのRaspberry Pi 5で通信・高次処理を行い、LLMベースのエージェント制御が可能です。ロボットに「会話させて操作する」研究にも使えます。
Q6. 日本から買えますか?
購入は可能ですが、配送・関税で最終価格が変動します。また、シンガポールのMenlo Researchからの出荷になります。
Q: プログラミング経験がなくても組み立てられますか?
難しいです。50〜100時間の組み立てに加えて、ROS 2・Python・Linuxの基礎知識が必要です。車の整備ができる機械的スキルと、Pythonスクリプトを書けるソフトウェアスキルの両方が求められます。
Q: 日本から購入できますか?
可能です。公式サイトで$499のデポジットを支払えば予約できます。配送先の国については、出荷前にMenlo Researchから案内があります。
Q: 完成品(組み立て済み)は買えますか?
現時点ではDIYキットのみです。Asimov 1は「自分で組み立てる」ことに価値があるプロジェクトです。どうしても完成品が必要なら、Unitree G1/R1を検討してください。
Q: 手(グリッパー)は付属しますか?
いいえ。Asimov 1には現時点でハンドは含まれていません。コミュニティで自作するか、今後のアップデートを待つ必要があります。
Q: どのくらいの広さの作業スペースが必要ですか?
ロボットのサイズは120cmとコンパクトですが、組み立て中は部品を広げるためにテーブル1台分(約2m x 1m)以上のスペースを推奨します。
Q: バッテリー駆動時間は?
スペック表には明記されていませんが、35kgのロボットに搭載されるバッテリーとしては、標準的な動作で30分〜1時間程度と推測されます。電源に接続しての運用も可能です。
Q: 保証はありますか?
DIYキットのため、一般的な製品のような保証はありません。ただし、バッチコミュニティとMenlo Researchチームのサポートがあります。
まとめ:Asimov 1は誰のためのものか
Asimov 1は万人向けの製品ではない。しかし、以下のいずれかに当てはまるなら、最良の選択肢になる。
- ロボット工学をゼロから完全に理解したい研究者・学生
- ヒューマノイドロボットを自由に改造・カスタマイズしたい開発者
- AIとの統合(LLM・強化学習)を実際のロボットで試したいAIエンジニア
- 大学・研究所で教育用プラットフォームとして使いたい教育者
- Unitreeの壁(修理のしづらさ・改造の制限)に不満があった元ユーザー
一方で:
- 「箱から出してすぐ動かしたい」人には不向き
- ソフトウェア/ハードウェアの両方にある程度慣れている必要がある
- $15,000(約240万円)は個人には高額だが、研究用としては競合より格段に安い
Asimov 1は、「ロボットを買う」ではなく「ロボットを自分のものにする」体験を提供している。10人単位のバッチで困難を共有しながら、本当の意味で自分だけのヒューマノイドを作り上げる——それがこのプロジェクトの真髄だ。
いますぐチェック
- Asimov 1 公式サイト — スペック・マニュアル・予約
- GitHubリポジトリ — CAD・基板・ソフトウェア全部入り
- 公式ドキュメント — 組み立てガイド・BOM
- Asimov 1 on X — 最新アップデート
※ この記事の情報は2026年7月時点のものです。価格・スペックは変更の可能性があります。この記事にはアフィリエイトリンクを含みません。
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この記事のまとめ
人型ロボットで最も難しい「シミュレーションと現実のギャップ」を、オープンソースのDIYキットで解決した——2026年で最も重要なロボティクス発表の1つです。
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